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ならば、次なる愛しい人を見つけるより前に、この世界から消え失せてやろう。
人が、世界が、神が許さぬといえど、この「衝動」は自分だけのもの。
木組みの階段を一段一段、ゆっくりと登る。足を踏み出すごとに、周囲の喧騒は勢いを増していくようだった。この広場に集まる誰も彼もが、リトヴァの命が断ち切られるその時を待っている。
死罪の執行は、この町での娯楽のひとつとなっていた。
この処刑は来世のための行いである。罪を犯したものが創世神へ許されるために必要な行いだ。彼らはそう信じている。そして、敬虔な自らがここに立つことなど決してないと思い込んでいる。
保証された「正しさ」は、人々の正気を狂気に変える。
階段を登りきったところで、視線を上げる。俯いてやるつもりはなかった。自分がここへ立つに至った経緯に、何ひとつやましいところはなかったのだと、誰ともなく告げるために。
強いて言うなら、この手で愛した今は亡き「最愛の人」へ誇るように、けれどこの世に見るべきものは何もないと昏い目で、リトヴァは処刑台へ立った。
隣に立つ処刑人が、リトヴァの頭に手をかける。眼前の頭を固定するための台を確認したところでリトヴァは目を閉じた。
ただ満たされた「愛」だけを持って死に向かう。それは、彼女との約束のとおりに。
そう思っていた。
「あなたの「愛」を、私は理解しましょう」
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