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「なにやらかしたんだ? ジャック」
次の休憩時間、僕はメンズルームで隣り合わせたショーン・リーガンに肘で小突かれる。
「何の話だい、リーガン?」
「なにってお前。『スタンレイ=ストーン・コールドからのお呼び出し』に決まってるだろ? バカ」
ショーンの言葉を聞いたとたん、僕のみぞおちがギュッと痛んだ。
そうなんだ。
スタンのオフィスに「呼びつけられる」なんて……でも、僕には何の心当たりも思いつかない。
「どうしたんだよ? レスもリーバーマンもお前も。特に目を付けられるような面子じゃないだろう?」
メンズルームでの用を済ませた同期たちは、口々にこんなことを云いながら、僕の頭を小突いたり肩を揺すったりしていく。
「確かにお前たち三人には、何の共通項もないよな」
ショーンは廊下を歩きながら、急に声を潜めて言った。
「なあジャック、リーバーマン達と女でも買いに行ったのか?」
僕は苦笑するしかない。
「女」を買いに行ったか……だって?
まったく、シャレにもなりはしない。
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