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17 その晩、僕はちょっとめずらしい任務にあたっていた。 まあ、治安関係とだけ云っておこうか。 トロントのダウンタウン――それも夜の劇場街を、僕とパートナーのガードナー(サージェント・)巡査部長(ガードナー)は、パトロールカーで警戒していた。 二月のクソ寒い夜で、僕もガードナーももういい加減にウンザリしていた。 コーヒーでも飲まなきゃ立ってられない。でも、飲めば飲んだで大変だ。 なんといったって寒いからさ。わかるだろう? コーヒーのペーパーカップに口をつけながらも、僕らは周辺に視線を光らせていた。 そうやって、しっかりと歩行者をチェックしていたから、遠くから歩いてくる「彼」に、僕はすぐに気がついたんだ。 僕は自分の目が信じられなかった。最初は。 だってこんなところに、いるわけがないんだ。 彼が、スタンレイ=「ストーン・コールド」ハンセン教官が。 その時、僕には、スタンしか目に入ってなかった。 だから思わず、ペーパーカップをサージ=ガードナー押し付け、スタンの方に向って歩き出していた。 でも、何歩か歩いてすぐ気が付いた。 スタンは、女の人を連れて歩いてたんだ。 もちろん、僕はスタンがゲイだなんて、まったく考えていなかったし、スタンに女の恋人がいる可能性については、十分、想像したことがあった。 ただ……。 実際にそれを目にしたらしたで、ひどくこたえたよ。   スタンは女性の腰にぴったりと手をまわして、少しセクシャルな匂いをさせながらも、とてもスマートにエスコートしていた。 それを見た瞬間の僕の気持ちときたら。 本当にみっともなくて、思い出したくもない。 僕は彼女に嫉妬した。 この雌犬、さっさとスタンから離れろよ。 スタンの腰にまわした手を離しやがれ、この豚女。 心の中でそう叫んでいた。 ひどいだろう?  でもいずれ、僕は「この報い」を受けることになるんだ。 そう、そうなんだよ。 きっと今、僕はこの時の報いを受けているんだ――
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