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それで、スタンとの電話が終わった後に、僕が何をしたかってさ。
ほんと……バカみたいなんだ。
僕は部屋を片付け始めた。
テーブルの上を整理して、シンクを拭いて。
キッチンとリビングの床にダスターをかけた。
「明日の日中は家にいろ」だって?!
いったい「日中」って何時くらいだよ。
そんなの「いつ来るか」全然分かんないじゃないか? スタンのバカ!
そんなことをぶつぶつ言いながら、僕はリビングに置きっぱなしてあった洋服やらなにやらを、とりあえずベッドルームに持っていく。
服はクローゼットに突っ込んで、ガラクタは作りつけの棚の上に押し込んだ。
施設でもそうだったし、寮でもそうだったけど。
僕は誰かと共同生活をしている時は、自分のスペースというものを、相当きちんと整頓することができた。
「得意だった」と言ってもいいくらいだ。
だけどさ。
こと、自分の部屋に関しては、つまり「完全なプライベート」ってものを手に入れてしまうと、そういうのが、まったくもって面倒になってしまうんだ。
アナとリックの家に居た時もそうだった。
自分の部屋は、ヒドかったよ。
もちろん、皆がいるところを散らかすことはなかったけどね。
ふたりは、僕の部屋については「プライバシー」として見てくれたから、散らかってようがどうだろうが何も言わなかったな。
そう。
「散らかすことができる」っていうのが、「嬉しかった」っていうのもあるんだ。
だって、誰のことも気にしなくていい「僕だけの場所」ってことだから。
きれいに「しなきゃいけない」ってことがない。
それってすごい開放感だ。
ここに住み始めて、さすがに、キッチンやバスルームを汚したままにすることはなかったけど。
ことベッドルームに関してはね、僕はなかなかの傍若無人ぶりだった。
そうやって、家を片付け始めた僕ではあったけど。
ベッドルームだけは、そうしようって気にはならなかったんだ。だってさ。
ここには、スタンを入れたりしないんだから。
絶対に――
そうさ? 家に来たいなら来ればいい。
でも、この部屋には――
ベッドルームには、絶対に入れさせないから。
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