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小さな声に、周子は微笑む。
「高く売れんじゃね? でもやっぱ実の娘は無理か、さすがに良心傷むわな?」
「──お金がなきゃ生きていけないでしょ。世の中お金よ」
小さな声で答えた、それが聞こえたわけでもないのに、後ろをついて歩く少女は悲し気に歪む。
☆
一時間後、ホテルの一室にいる周子は天音にメッセージを送っていた。
【あなたに会えてよかった】【見違えて立派になって、自慢の娘だわ】【今度ゆっくり会いましょう】
意外にもそれはすぐに既読になり、返信もある。スタンプだけだったが「はーい」という言葉に笑顔になる。
【いつにする?】【大学はもう休みなの?】【大学はどこ?】【横浜まで来られるなら横浜でもいいし】【都内でも全然構わないわよ】
立て続けに送れば、天音からも「どこでもいいよ」と返信があった。
【でも友達も一緒でいい?】
そんな文面にすぐに先ほど会った悠希の顔が浮かんだが、念のため確認する。
【いいけど誰?】
男は嫌だと送る前に、天音から「さっき一緒にいた人」と返信がある。
「いいじゃん、美女だった、背がデカいのはなんだけど好みの客はいるかも、使える」
隣でその画面を覗き込んでいた知治がニヤニヤと笑いながら言った、周子はうなずき文字を打ち込む。
【全然構わないわよ、むしろwelcome!】【天音からは聞けない天音の普段の様子、聞いちゃうわよ!】
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