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天音からはそんなに仲いいわけじゃないよ、などという返信があったが気にしない。それでは何処で会おうか、いつにしようか、女同士のことだからパパには内緒ね、などと話を始めると、部屋のドアがノックされた。ベッドに腰かけていた少女がびくりと体を震わせる、素早く動きドアへ向かったのは知治だ。ドアをわずかに開け相手を確認した、見知った男性客であることを認めると全開にし招き入れる。
「いらっしゃい」
周子も笑顔で迎えた、男は手を揉むようにして挨拶をする。
「やあ、いつもどうもどうも」
ベッドに腰かける少女を見て、いやらしい笑みを浮かべた。
「これまた若いね」
「そう見えるのよね、これでも18歳よ」
言われて少女は小さくなる、実際には16歳だが、決して言うなと口止めされた。
「初めてなんだよね、うんうん、緊張が伝わってくるよー」
男の目がいやらしく歪むのを見て、少女は慌てて顔を伏せる。
「いろいろ教えてあげてね。この仕事が好きになるように」
「もちろんさ、嫌なことや痛いことはしないよ」
男の返事を聞き周子は大小の鞄を手にした、小さな鞄は少女のものだ、返してほしければ逃げるなということだ。
「頑張ってね、頑張ればチップがもらえるから、そのチップは全部あなたのものよ」
周子に言われ、見上げた少女の顔がわずかに笑みが浮かぶ。だがそれもいやらしく笑う男と目が合ってすぐにしぼんだ。
男は周子に現金を手渡した、周子はその枚数を数えてから部屋を出て行く。
「さて、早速飯でも食べに行きますか」
周子の肩を抱き知治が誘う、得たばかりの金を使おうというのだ。周子は現金を握り締めにこりと笑った。
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