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「何言ってるの! 売春なんかしないよ!」
「やあねえ、今どきはパパ活とか、そんなんでみんな普通にやってるでしょ」
「聞いたことない!」
「まあ、育ちのいいこと……え、あなた、まさか、処女なの?」
はっきり言われ、天音の頬が赤くなる。
「やっだー、十代も後半になって処女なんてありえないと思ったから確認もしなかったわ! いいわ、今日の客は処女好きなのよ! というより幼い子が好きなんだけど! いいわね、料金上乗せをお願いするわ! その分あなたの取り分も増えるから」
「しないって言ってるじゃん!」
逃げようと踵を返した天音を、周子は素早く捕まえる。
「大丈夫よ、本当に誰でもやってるんだから、安心しなさい。演技であんあん言ってればおじさんたちは喜ぶのよ。それだけで手っ取り早く大金が稼げるんだから、簡単じゃない。ああ、あなただけに特別待遇も考えてるのよ、あなたはやっぱり娘だもの、取り分はいつもは37なんだけど、特別に46でいいわ」
もちろん少ないほうが天音の取り分だ。
「要らない! やらないもん!」
「んー、じゃあ今日だけ、ママの顔を立てるために、お願いよ」
「知らないよ!」
手を振り解こうとするが、周子も必死だ、しっかりと天音のブラウスを掴んで離さない。
「わがまま言わないで。いつもは2万のところを5万にしたのに売れたのよ、すごくない?」
二人はもみ合いになりながらも一つの部屋の前にたどり着いた、周子が部屋のドア脇のインターフォンを押す。
「嫌! 離して!」
「46だから、あなたの手取りは2万円になるわね、大金でしょ、たった2時間、足を開いてればもらえるってすごくない? 何が買えるか想像してごらんなさい、ワクワクするでしょ、終わったら渡すから取りに来るのよ」
「やらないから!」
怒鳴った時、ドアは開いてしまう。中で待っていたのは清潔そうなサラリーマン風の男だった、天音を見てにこりと微笑む。
「ああ、大学1年生って聞いてたけど、童顔かな? いいね、むしろ好みだよ」
男の好みが十代前半などということは、天音は知らなくていいことだ。
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