4人が本棚に入れています
本棚に追加
学園の入学式。
王族や貴族などの身分が高いものだけが入れる学校がノースポール学園。新入生が集まる会場の中でひときわ目立っているのは私の婚約者であるスターリア殿下と側近の友人達。
「王太子様とご友人の方々ですわ!皆さん、素敵!」
騒ぐ会場の中で私は一人落ち着いていた。
(未来の王妃が取り乱してはいけないから、気をつけないと)
そう思っていると、いつの間にか令嬢達に囲まれていた。
「やっぱり、ダリア様は落ち着いていらっしゃいますね。王太子様の婚約者なんて、とても素敵ですわ」
「ダリア様はとてもお綺麗で私達の憧れなんです!」
令嬢達はキラキラとした眼差しで私を見る。
「ありがとうございます。皆様もとても素敵ですわ」と私が言うと、令嬢達は頬を赤らめる。
入学式が始まると、新入生代表として殿下が表に立つ。いつも笑顔の殿下とは違う、王太子らしい真剣な表情を見て、私は胸が高鳴った。この人の婚約者でいられることを誇らしくも思えた。
学園に入ると、今まで半年に一回しか会えなかったけど、殿下と毎日のように顔を合わせることができる。勉強もためになるから楽しいし、殿下とも会える。そんな学園生活が楽しくて仕方なかった。楽しくて仕方なかったのに……。それは半年経たずに、奪われた。
最初のコメントを投稿しよう!