76人が本棚に入れています
本棚に追加
夜が明け、朝一で中央から近い邑々へ通達が行った。
トバリの手際の良さは誰もが認めるところなので、安心して任せられる。
その間ユウナギとコツバメは共に弓を引いたり書を読んだり、川ではしゃいだり林へ木の実を拾いに行ったりして過ごしていた。
そんな中、時折きょろきょろと周りを見回していたコツバメが、こんなことをたずねる。
「この敷地内や周辺に、外から来た者がおるのは普通か?」
「へ? そんなのいないよ? 昔は海の向こうからの使者が多く滞在していたらしいけど、今は全然。どうして?」
「よそ者の気配がする……。何かこう、不審な」
「そんなはずない。ここに勤めているのは身元の確かな者ばかりだし。それらの紹介がなければ出入りもできないわ」
確実なことを言えないコツバメは、それ以上何も口にしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!