【 第ニ章 】 あなたの隣で生きたい

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【 第ニ章 】 あなたの隣で生きたい

 隣国がその向こうの国の軍によって陥落した、と、知らせの入った中央は騒然とした。  東方の土地、資源を掌握した大王(おおきみ)の挨拶代わりだろうか、ひと月もしないうちに、小隊が国の東部に攻めこんできた。  (いくさ)と言うほどでもなく小競り合いの程度で済んだのだが、当然犠牲者は出た。  その間、ユウナギが隊を率いるナツヒと顔を合わせることはなく。  後で聞いたのだが、そこに送られてきた敵兵は、もとより隣国で暮らしていた平民だったそうだ。  国を乗っ取られると原住民はいとも容易く捨て駒にされてしまう。  当たり前のように平穏な暮らしを送ってきたユウナギは、そのようなことを考えたこともなく、衝撃を受けたのだった。  しかしまた時は過ぎ、穏やかな日常を過ごしていた。
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