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「最近、疲れやすいって言ってたから、癒しの力を付与してみたの。効いてよかったわ」
「やっぱり! そうじゃないかと思った。修理も格安でやってくれたのに、力まで付与してくれたのね。ごめんなさい。でも、嬉しい。ありがとう!」
この間、アメリーが初めてこの店で買ってくれたネックレスを、修理してほしいと持ってきた。鎖が切れてしまったのだ。
アメリーは常にこのネックレスを身に着けてくれているらしく、忙しなく動いている際にうっかり引っ掛けてしまったらしい。
涙目でやって来たアメリーに、私はすぐに直るからと修理を請け負った。
アメリーには随分お世話になっていることもあるから、修理のついでに力を付与しておいたのだった。
力の付与を施すと、当然ながら金額が上がる。でも、クラフト職人の資格があるのに、付与なしのアクセサリーばかりを置くのは嫌だった。
だから、手に取れるアクセサリーにも力は付与している。ただし、数値はかなり抑えてある。
それでも、付与付きのアクセサリーを平民が身に着けられるのは奇跡のようなことらしく、私の作ったアクセサリーは皆に喜ばれていた。
アメリーのネックレスには、元々魅力をメインに付与していた。でも今回、癒しをメインに変えたのだ。もちろん、魅力も残してはいるけれど。
季節の変わり目だからか、最近疲れやすいとアメリーが言っていたのを思い出し、こっそりと付与していたのだけれど、効果を実感してもらえてよかった。
「私たちみたいな平民が、付与付きのアクセサリーを身に着けられるなんて夢みたい。お医者様にもなかなかかかれないから、本当に助かるわ」
そう。私が彼らにも付与付きのアクセサリーを身に着けてほしいと思うのは、これなのだ。
医者にかかるのは、結構なお金がかかる。だから、平民のほとんどは、ちょっとした不調くらいで医者を呼ぶわけにはいかない。
でも、身体の不調は稼ぎに直結する。お金を稼げないと、生きていけなくなってしまう。これは、どの世界でも同じ。
だから、少々の不調ならこれで乗り切れるよう、彼らにも付与付きのアクセサリーを提供したかった。
「よかったわ。……そうだ、屑石を刺繍したハンカチとかどうだろう? 石に力を付与すれば、アクセサリーみたいに効果はあると思うし、アクセサリーよりも身に着けやすくない?」
アメリーの話を聞いて、ふと思った。
アクセサリーをつけることにハードルを感じる人だっているだろうし(主に男性)、そういう人たちにも、もっと気軽に持ってもらえるものはないかと思ってはいたのだ。
「え? そんなことできるの?」
「やってみればできるかも。屑石なら、力をちょっと高めに付与しても、値段は抑えられると思うし」
「それじゃ、その屑石はうちから提供しようか?」
その声に、私とアメリーは一斉に入口を見る。
そこには、宝石加工職人のカイルが立っていた。
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