隠された心の叫び

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隠された心の叫び

昼間の青い空。 気温は三十度を超えている。 道の両側に住宅が建ち並んでいて、真ん中のアスファルトで舗装された道を二人の少女が歩いている。 一人は十代後半の長袖を着ていて背の高い少女、生天目瀬名。もう一人は十代前半の少女、持田月子。瀬名の前をいく、月子がくるりと後ろを向いて言った。 「さ、早く! 早く! 合唱も終わったんだし、瀬名の家に遊びに行こ!」 「ハハハハハ。アタシより若いだけあって元気だな」 二人は教会の聖歌隊で出会った。 音楽好きという共通の趣味で意気投合し、瀬名は自分で作った歌を録音して月子に聴いてもらい評価や感想をもらっている。 歩きながら会話を始めた。 「月子、この間、貸したCDはもう聞いた? アタシが新しく作った曲をまとめたやつ」 「うん! 聞いたよー! なんか悪魔みたいな感じって言うか、ダークな曲調でとってもかっこいいロックだったー! 全部で一時間ちょっとあって、ボリューム的にも満足したよ!」 「……うん、ならよかったんだけど」 ブー! ブー! 瀬名は服のポケットからスマートフォンを取り出して、画面を操作する。 「申し訳ないんだけどさ、急用が入って今日は家で遊べなくなった」 月子は立ち止まって少し考え、そして言った。 「……それはしょうがないね。その分、次はいっぱい遊ぼうね!」 その後、二人は別れて家に帰った。 瀬名は自室の大きな鏡の前で片方の袖をまくる。腕に青いあざがいくつもある。 「気付かれなくてよかった。親に虐待されてるなんて知られたくないからね。しっかし、母さんも父さんもサタニックな音楽を好きな私がそんなに嫌いなのかね……?」 瀬名はため息を吐く。 「全部で一時間ちょっとか……ホントは二時間あるんだよ。隠しトラックに気付いてないのかな。まぁ、あんな『死にたい死にたい』って歌っている曲はやっぱ聞かせたくないね。明日、CDを返してもらうように言おう」
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