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「おいちー!」
翌日は、私の方がオフだった。美容師のセイヤとOLの私は、一緒に暮らしていても休みが合わないことが非常に多い。彼は土日関係ないシフト制だし、私は普通に完全週休二日制だからだ。
愚痴を聴いて貰うべく呼び出したマイコは、私の大学時代の親友である。私の奢りということで、今日はどでかい超ミックスハイパーデラックスメロン盛り合わせパフェ、なるものを頼んでいる。
――くっそ私だってそれ食ったことないんだぞ!
高いから遠慮してんのに!とコーヒーゼリーをちみちみ食べながら思う私。相談に乗って貰う立場なので文句は言えない。それに、コーヒーゼリーもなんだかんだで美味しい。
「いやあ、ラブラブカップルだと思ってたんだけどねえ。セイヤくんも男の子だったってことだねえ!」
「あのーマイコさん?なんか心なしか嬉しそうに見えるんですか?」
「だって親友の修羅場よ?面白いに決まってるじゃない!」
「あんたはいっぺん親友って言葉を辞書で引いてくるべきだと思う!」
「親友って書いてカモとかパシリって読むんでしょ?」
「はったおすぞゴラァ!」
何やら漫才のようなやり取りだが、自分達の間ではこれが平常運転である。逆に私が彼女の相談に乗ることもあるからおあいこと言えばおあいこである。ただし私は彼女と違って、人の奢りだからといって馬鹿高いパフェは注文しないが、断じて!
「……ま、マジで言うとね。あたしはアイはちょーっと危機感が足りなかったなと思ってたわけですよ」
パフェの一番上に乗っているメロンを堪能しながら言うマイコ。
「だって聞いた限り、セイヤくんってめっちゃモテるじゃない。職場でもさあ、同じ美容師仲間からも客からもバレンタインチョコもらいまくる人なんでしょ?今のご時世、職場がチョコまみれになるほどモテる人ってそういないわよ?しかも、彼女と同居してるって知ってる人が大半なのに。それってあわよくば、ってことでしょ」
「ほ、本人はほとんど義理だからって笑ってるけど……」
「まあ、セイヤくん結構ボケボケさんみたいだから、マジで義理チョコオンリーだと思ってるかもしれないけどね。だとしても、少なからず好意を向けられるからこそだと思うわけよ。雑誌で取り上げられるようなカリスマ美容師!チャラそうに見えてものすごい気遣い屋、トークの達人!でもってあの可愛い顔でしょ?モテない方がおかしいじゃない。あんた、同居してるからってちょっと甘く見てたんじゃないの?」
「ぐぐぐ……否定できん」
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