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違いがあるとすれば、廃校という場所柄、机の脚が錆びていたり天板の部分が欠けていたりすることくらいだろうか。
机と椅子の低さから見て、ここは小学校をモデルにしたマップなのだろう。
「エグいなこれ、マジで廃校じゃん」
「ッ!」
突然聞こえてきた声に驚いて、覗き込んでいた机から顔を上げる。教室の入り口に立っていたのは、よく見知った友人の姿だった。
「ビビらせんなよ、お前がこのマップにしたんだろ。他のみんなは?」
「招待飛ばしたからもう来るんじゃね?」
そう言いながら俺の方へと歩み寄ってきたのは、馬場勝行。クラスメイトの一人であり、今回肝試しをしようと提案してきた人物だ。
綺麗に刈り上げられた後頭部を撫でつけながら、勝行は教室内をぐるりと見回す。
「女子がいりゃ盛り上がるとは思ったけど、リアルすぎて西村とか泣いちまうかもな」
案じているかのような口振りとは正反対に、勝行の口角は意地悪く持ち上がっている。
そうなるかもしれないとわかっていて提案してきたのだ、俺には泣かせる気満々だと言っているようにしか見えない。
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