01:VRの世界へ

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 グループチャットでの誘いが来た際には、俺は彼女は来ないだろうと予想していた。しかし、女子一人では心もとないという理由で、惠美が強引に説得をしたようだ。  比較的何事にも動じない自信のある俺ですら、あまりにもリアルな廃校という場に少しの恐怖を感じたのだ。  怖いものが苦手な西村であれば、その心中には相当の恐怖心や後悔が渦巻いていることだろう。 「大丈夫だよ一穂! アタシもいるし、男共も三人もいるんだし! ちょーっと頼りないかもしんないけどさ」 「ちょっと待て、他はともかく俺は頼っていいだろうが」  励ます惠美と勝行のやり取りに、強張っていた西村の表情が少しだけ和らぐ。  近年のVRは、プレイヤーの表情もある程度の反映をしてくれることに、俺は場違いな感動を覚えていた。
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