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左手が、ノートの見返しのページに触れている。まだ文字は続く。下方にある、二列の言葉。 これは はじまり 声を失う。血が引くように感じた。 飲んだ呼吸を小さく吐く。 「——わかりました」 席を立つ。笹埜は考えるのをやめていた。 ただ、松永のあとを追って歩いた。
〈了〉
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