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私は希世さんに頭を下げて、縁側の戸を開けました。
冬の厳しい寒さが一気に部屋の中に雪崩れ込んで来ます。
「寒っ…」
私は上着の前を合わせると、その戸を閉めました。
空気の入れ替えはこの程度で良いといつも先生が仰っておられます。
「おはようございます」
と応接間から出て来られた律さんが私に声を掛けられました。
「おはようございます」
私も挨拶をして、律さんに微笑みました。
律さんは私が誰であるかを知っている…。
ふと、昨夜、律さんに言われた「政貴」という名前を思い出しました。
出来ればもうしばらく、「要」のままで居たい。
寝ずに考えた私の答えです。
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