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空を見ていた俺は、ちらりと横目でクラスの中に視線を移す。
目に映るのは。
「……」
思わず目に入っただけで息が止まりそうになる。
俺はすぐに視線を空に戻す。
ちらちらとクラスの女子を見ていたなんてばれたら、からかわれるに決まっている。
気になっているのは真白さんのことだ。
今は次の授業の予習でもしているのか、教科書を読んでいるようだ。そういうところは真面目らしい。
教科書の隙間からちらりとだけ見えた顔は、色白で昔話に出てくるかぐや姫みたいに整っている。それなのに、どうやら本人はそれが気になっているらしい。顔立ちが古風すぎて嫌だとか、友達と話しているのが聞こえてきたことがある。
俺はその顔がすごく可愛いと思っていると伝えたかったのだが、突然会話に入るなんておかしすぎるのでやめた。そんなことをしたら変なやつだと思われるに決まっている。
俺はその顔に一目惚れしてしまったのだ。初めて見たときから頭の中から真白さんの顔が離れなくなってしまった。
それでいつも休み時間には空でも見ているようなふりをして、真白さんを見ている。
あんな可愛い子と付き合えたらいいと思う。
だが、俺なんかが彼女と付き合えるわけがない。
ため息を吐きたくなる。
だけど、もうこれ以上我慢するのはもう嫌だ。
この先がどうなるかはわからない。
それでもいい。俺は……。
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