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「俺さ」
羽田君がぎゅっと拳を握っている。そして、俯き気味だった顔を上げた。
「人間じゃないんだ」
「!? え、じゃあ……」
「信じてもらえないかもしれないけど、俺、実は天狗で……。付き合ってもずっと一緒にはいられないかもしれなくて」
「……」
突然の告白に私は唖然とする。
「本当に?」
「ああ、だから人間とは本当なら住む場所も寿命も違うし、ただ人間のこと知るためにって父さんが高校に通ってみろって。そこで好きな子が出来るなんて思ってもみなくって」
「……そうなんだ」
それで、と私は納得する。
ハーフでもないのに高い鼻。天狗だったからなのか。
「ごめん。いきなり変なこと言って。おかしなやつだと思ったよな。ただ、本当のこと真白さんには伝えたくて」
「羽田君……」
私は羽田君をじっと見つめる。それから、言った。
「よかったぁぁぁあ」
「へ?」
私はにっこりと笑う。
「私も思ってたの。羽田君とは絶対に釣り合わないって。だって、人間と妖怪なんて絶対無理だと思ってたから」
「……? 人間と妖怪? 確かに俺と真白さんはそうだけど。どうして」
「私もなの。私、雪女だから」
「……!」
羽田君がびっくりしたような顔で口を開く。
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