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次の日、また坂道を下っているとまた「おーい」という菜乃花の声が聞こえた。
「今日は水筒落とさなかった?」
「うん!今日はバッチリだよ!」
そう言いながら手を上げる彼女の手には水筒ではなく体操着があったが、僕は何も言わなかった。
眠くなってきた授業で外を見ると、隣のクラスが体育をしていた。テニスのボールを飛ばそうとしてラケットまで一緒に投げてしまう菜乃花の姿が目に入る。
相変わらずだなぁと思いながら、僕はまた授業を聞き始めた。
菜乃香のことを見たり考えたりすると高鳴る心臓の音、他の何にも集中できなくなるけれど、僕はこの感じが好きだった。
菜乃香がいれば僕の人生はいつでも春なのだ。
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