あのね、

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 この日の放課後も、また菜乃香は忠志くんと何やら話していた。  菜乃香は男女限らず友達が多い。ドジなところも多いが、菜乃香と過ごしていると飽きることがない。小学校の時は菜乃香の面白さを知るのは僕ぐらいだったのになと少し寂しくなりながら、僕は一人で家に帰る。  自転車に乗りながら、菜乃香は忠志くんとどういう関係なのだろう。そう考えると僕の心は少し靄がかかったようになった。  忠志君と直接話したことはないが、彼は成績優秀のイケメンで、誰とでも気さくに話す人気者で、僕とは反対側にいる人だ。  僕は彼に勝てるのだろうか。そんな不安に襲われて、僕は大きくため息をつきながら大空を見上げた。  だが、その日の夜、菜乃香から『来週の金曜日、一緒に帰れる?』というメッセージが届いて僕の心には再び晴れ間が訪れた。僕はドキドキしてこの日はよく眠れなかった。
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