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大也が私の腰にそっと手を回すと、ヒューヒューという、声が上がる。
声の主は、さっきまでステージの上で素敵な歌声を披露してくれていたBIIのボーカル、カケルさんだ!
改めてみると、
カケルさんだけじゃなく、
メンバーの卓さんも木之下さんも、
押田さんまでいる。
恥ずかしいけど嬉しくて、大也に寄り添うと
「嫁になる芽衣です。苛めないであげて」
と、大也がちゃんと紹介してくれる。
「大也おめでとうー」
みんなからの拍手が降り注いで、
大きなケーキを持ったスタッフさんがやってきた。
ケーキには
『祝結婚』
と書かれている。
「簡易的で悪いけど、今ならみんないるし、結婚式とかまだ決めてないし、一応紹介しとこうかって」
ちょちょっと待ってよ。
今、散々ライブで泣いたから、メイクなんてもうしてないようなもので、髪だって、何もかも、私、酷い状態なのに。
これが、大也の嫁だなんて思われたら、
大也の株が下がってしまう。
「大也、本当にいいの?こんな私で」
「ここまできて、何言ってんの?
芽衣がいいって言ってんじゃん」
大也は私に耳打ちする。
いや、そういう意味でもないんだけど……。
でも、
やだ、
嬉しい……。
みんなから注がれる温かい視線に涙がジワリと湧いてくる。
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