十年越しの告白

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 堀田の最寄駅に着くと、加藤は「気ぃつけて帰れよ」と一言声をかけ、彼らは別れていった。堀田が階段を降りたのを確認すると、加藤はイヤホンを取り出し、そのまま端っこの席に座った。  一方堀田は駅の階段を降りると、最近買ったばかりのワイヤレスイヤホンで流行りの洋楽を聞きながら家に帰った。今までは加藤と同じように紐状のものだったが、スマホで音楽を聴くならワイヤレスの方が良いとテレビで言っていたのを見て以降、少ないお小遣いを貯めてようやく買ったのだった。  「ただいま」    家に帰ると、堀田は誰もいない家のソファに座って一息ついた。しばらくただぼーっとした後、また立ち上がりキッチンへと向かった。  「あ、コーラきれてんじゃん」  そう呟いていると、加藤から『家着いた?』と連絡が来た。堀田がしばらく無視していると加藤から電話がかかってきた。  「もしもし?」  「なんだよ」  「家着いた?」  「うん、今着いたとこ」  「俺が家着いたらゲームな」  「まだ着いてなかったの?」  「ん?うん、今乗り換えのとこ」  「あっそ、でも俺今日はむりだよ」  「なんで?」  「宿題とかあるし」  「は?お前なー」  結局、加藤の説得により堀田は今晩もゲームをすることになった。堀田は昔からゲームをよくやる方だった。だが、ゲームが下手な加藤の方がいつもゲームに燃えていた。
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