十年越しの告白

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 「いつもに増して昼の準備が早いな」  「お腹空いたからな」  「あ、今日弁当忘れたや」  「じゃあ、俺のやるよ。多めに持って来たし」  「本当?いつも悪いな」  加藤は慣れた手つきで、堀田の分のお弁当を取り分けた。  ざわつく教室の中で、二人は向かい合いながら昼ごはんを食べる。教室の中には大勢の人がいるはずなのに、まるで二人しかいないような空気がそこからは感じられた。  ご飯を食べ終わると、堀田はどこか寂しそうな顔をしていた。  「どうしたお前、なんかあったのか?」  「ん?」  「いや、なんか変な顔してたから」  「うっそ、全然自覚なかった」  「悩み事?あ、もしかして好きな奴でも出来た?」  「そんなんじゃねぇよ」  「じゃあ、なんだよ」  「別に、なんでもねぇよ」  加藤はその後何も言わなかった。ただ、癖である貧乏ゆすりを続けていた。
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