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「いつもに増して昼の準備が早いな」
「お腹空いたからな」
「あ、今日弁当忘れたや」
「じゃあ、俺のやるよ。多めに持って来たし」
「本当?いつも悪いな」
加藤は慣れた手つきで、堀田の分のお弁当を取り分けた。
ざわつく教室の中で、二人は向かい合いながら昼ごはんを食べる。教室の中には大勢の人がいるはずなのに、まるで二人しかいないような空気がそこからは感じられた。
ご飯を食べ終わると、堀田はどこか寂しそうな顔をしていた。
「どうしたお前、なんかあったのか?」
「ん?」
「いや、なんか変な顔してたから」
「うっそ、全然自覚なかった」
「悩み事?あ、もしかして好きな奴でも出来た?」
「そんなんじゃねぇよ」
「じゃあ、なんだよ」
「別に、なんでもねぇよ」
加藤はその後何も言わなかった。ただ、癖である貧乏ゆすりを続けていた。
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