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その後
富士山の噴火から3年の月日が経った。
未曾有の災害が残した爪痕は、まだ癒えることがない。それでも人々は復興に向けて、歩みを続けていた。
あの日、洞窟から一昼夜かけて生還し、息つく間もなく里香を荼毘に付さなければならなかった。災害時のために葬儀も行うことができず、柚子の精神状態はどん底まで落ち込んだ。
なぜ里香が…
なぜ、あんなに優しい娘が死ななくてはならなかったのか。
どんなに考えても答えは出ない。
来る日も来る日も堂々巡りの思考の中で、もがいていた。
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