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ここは柚子と里香が暮らしたマンションだ。地震と火山灰の深刻な被害を免れ、小規模なメンテナンスのみで住み続けることができている。
敏江は里香の遺影に手を合わせると言った。
「もう3年も経ったなんて信じられない。すごく悔しいし、悲しいね…。だけど、私は里香ちゃん、最後まで幸せだったと思うよ」
「…そうだったとしたら、少しは救われる…」
そのとき、また玄関のインターホンが鳴った。
「あ、壮太くんだわ」
「って、里香ちゃんの彼氏の?」
「そうなの。あれから、ちょくちょく来てくれるの」
敏江が笑顔を見せる。
「里香ちゃんが心配して、壮太くんを呼んでくれてるのかもね」
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