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彼女の身体を、崖を降りたのとは別のロープで自分の身体に固定すると、軽々と登ってくる。
いったい彼はどこで、このようなサバイバル技術を身に着けたのだろう。柚子は驚嘆した。
ロープを解き、里香を岩陰に横たえる。頬にできた擦り傷が痛々しい。服も土で汚れている。耳元には、柚子がプレゼントしたウサギのピアスが揺れていて、そこだけが非現実的な夢の世界のようだった。
ああ、これが夢ならいいのに…。柚子は神様を恨みたい気持ちだった。
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