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「息はある。大丈夫だ。でも地面に少し、吐いた跡があった。頭を打ってるみたいだから心配だ。それと、足首がひどく腫れてる。骨が折れてるな」
孝介は里香のジーンズの右ふくらはぎから下をナイフで破り取る。靴下を脱がせ、リュックから薬草を取り出すと何度か揉んでから足首に押し当てた。
「ううっ…」
里香がうめき声をあげる。
「痛いよな。ごめん。よく効くから辛抱してくれ」
「里香! もう大丈夫よ」
柚子が声をかけると、里香は微かに頷いた。
孝介は彼女の足に手際よく添え木をすると、辺りを見渡す。
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