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孝介は里香に水を飲ませた。持ってきた食料を少し口元に運ぶ。
すると、里香は嫌がるように首を振った。
「…私…もうダメだと思う…。目が見えなくなってきてるの…」
「里香!?」
柚子の背中を、冷たい汗が伝い落ちていく。
里香は苦しそうに一言一言、息を吐きながら言った。
「お母さん、孝介も…来てくれてありがとう…。生まれ変わったら、私は…お母さんの…本当の子供になりたい…」
擦り傷ができた頬に、微笑みを浮かべる。
「きっとなれるよね…。だから、死ぬのは怖くないよ…」
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