勝者と敗者の間に

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 誰になんと(なじ)られようと構わない、優勝したのはこの俺、エリック・オースターなのだ。 その事実は変わらない。  銀河系の全域から腕利のレーサーが集い、その腕を競うマシンレースに俺は真っ赤なボディのイカした相棒"バーニングウルフ"と共に挑んだ。  女子供には見せられないような熾烈なレースを勝ち抜き、金色に輝くトロフィーを掲げながら表彰台に立った時、俺は未だかつてないほどの高揚感に浸っていた。  気分が良かったのは、長年のライバルであるヘンリーが銀色のトロフィー片手に、その嫌味なほど整った顔を歪めながら舌打ちしたからだ。  俺は、ついに奴を打ち負かしたのだ。
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