【弐】wat je nu kunt doen

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そう思っていたのにーー 「取り敢えず今の状況を口に出して喋ってみるといいかもね」 独り言に突然言葉を返され、呆然としていた意識が現実へ戻ってくる。 目の前で軽快に手を振る相手はどうやら俺たちの国の兵士のようだ。軍服の色が違うのは国直属の兵士、いわゆる騎士団に近しい立場の人物だろう事が想像できた。 目の前の状況と頭の中の知識が一瞬噛み合わず遅れてしまったが、国直属ということはかなり高位の立場なのだ。 素早く敬礼し、無礼を詫びるために口を開きかけー人差し指で止められる。 「あぁ、別にそういうのいいからさ。僕堅苦しいの苦手なんだ。この軍服だって今すぐ脱ぎたいくらいだし……。それよりも君、見たことない顔だね?」 距離を詰められ、答えに窮してしまう。 疑われている状態なのは分かっているが、口許に置かれた人差し指が離れず、言葉を紡ぐことが出来ない。 「ここに来るのは決まった兵士だけなんだよね。だから、僕はここに来る全員の顔と名前を覚えてる」 ーだけど、君は全く見覚えがない。 ようやく口許から離れたかと思えば、顎を掬われ強引に上に向かされる。 疑われている。 俺が敵国の間者じゃないかと疑われている。弁明しなければ。俺は付き添いで来ただけなのだと、この国の一兵士なのだと弁明しなければならないのに。 すべき行動は分かっている筈なのに、思考と現実が結び付かない。 目の前の相手の行動が、理解ができなかったからだ。 俺は、俺はなぜ今。 「……君、面白い顔をするね」 口を、塞がれていたのか。 思わず口を手で覆ってしまう。 唇が熱い。口内が自分の知らない味に満たされて混乱してしまう。眩暈がする、混乱してうまく言葉が出てこない。 「ー俺はッ、カリエラ・マックラーナ上等陸尉の付き添いで来たシモン・ラハードだ!!通信施設の天幕から離れるように言われて、この場所まで来てたんだよッ……クッソ、ふざけんな…」 「へぇ、マックラーナ上等陸尉ね。君はその付き添い……それで、通信施設の天幕の兵士が君をここに置いた」 先程の行動に触れず、俺の態度にも何も言わず、淡々と俺の言葉を反芻していた。 「その通信施設の兵士、何て名乗っていた?」 「名前は……聞いていない」 「君、シモン・ラハードって言ってたよね。その天幕に案内してくれるかい?」 俺の言葉を聞き険しい顔つきになる相手は、そのまま道の先を歩いて言ってしまう。 案内してくれ。 そう言っていながら、迷いのない足取りは場所の検討ついている様子。 「何なんだよ…っ、くそ」 訳が分からないまま、俺は後に続いていった。
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