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鬼灯の夢
…家族で、車で山をこえようとして。
ー 私たち3人は、無事だったけれど、父と母はいなくなってしまった。
神様なのか。妖怪なのか。何なのか。
一体私に、何を産ませるつもりだったの。
山の中に住まう『何か』に、私たちみんなすっかり騙されている。
最後の一つをもぎ取ると、橙色の包みを剥いて、身を取り出して皮ごと口に入れた。
夢よ、覚めろ、と。
頬に詰めていた鬼灯の果肉をぶしゅりと噛み砕いた。
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