中学一年生の二月某日

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中学一年生の二月某日

 中学に上がって初めてのバレンタインデー。  周りの男子は口には出さないけど馬鹿でもわかるほどソワソワしていて、女子はその辺が上手く何気ない日常を装っている。  小学校の頃から大して容姿は変わらず、モテた訳でもない。だからオレは期待なんてしちゃいない、本当さ。  小中学生男子のモテるモテないは運動神経の良さとほぼ同じだ。勉強ができても顔が良くても余程のものでなきゃ注目されない。  自分から人の輪に入っていく勇気もなく、中学に上がった時に小学校の頃の友達の殆どが他校へ行ってしまい、他の小学校から上がってきた連中に人見知りを発動。見事にハブにされたオレは体育祭でも文化祭でも誰でもなれる作業員Aとして駆り出されるだけの無味乾燥な一年を過ごしてしまった。
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