中学一年生の二月某日

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 外に出た瞬間、冷たい風に震えてマフラーを巻き直す。いつの間にか左隣に立っていたリオが長いまつ毛を夕日に煌めかせ笑顔を浮かべた。 「そのマフラーまだしてるんだね」  オレのマフラーは小五の時にリオがくれた物だ。ちょっとだけ短く感じるようになったけど、別に巻けなくなったわけでもない。単に物持ちが良いだけだ。けどそのまま言うのはなんかいけない気がした。 「ああ、まあな。あったけーし」 「そっか。頑張ってよかった」 「え?」  なんかボソリと呟いたリオだが聞き取れず聞き返す。 「なんでもない。さあ僕の家行くぞ成果ゼロ君」 「それやめろ」  校門を出た所で三人仲良く足が止まった。別に忘れ物だとかチョコのしまい忘れに気づいたとかとかでもない。校門を抜けて直ぐの道で手提げに義理チョコを詰め込んだ女子数人が下校中の男子にチョコを配っていたのだ。 「家庭科部の女子達だね」
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