中学一年生の二月某日

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 慌てて腕を引っ込めようとしたリオを見て何故だか腕を伸ばしてそれを止めてしまった。何故だろう。あたたかいからか。 「いいよ。あったけーし」 「……そっか」  腕を組み直して夕日に向かって歩く。  二人で下校するのは中学の入学式ぶりか。新月とリオが同じ塾だったから同じ中学になって良かったと話してる間に、いつの間にかオレも加えられていて直ぐに三人でつるむようになっていたから。  リオは顔が広い。可愛い上に怖気付くことなく人の輪に入っていくから、実際三人でつるんでいるのはオレから見た関係であって、リオからしたらオレは数多くいる友達の一人に過ぎないんだ。そして今日、新月はどうするつもりか知らないけど本命チョコなんて貰いやがった。  とてつもない孤独感が急に這い上がってきて背筋に冷たいものが走るのを感じた。隣にリオがいるのに、オレは孤独を感じている。
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