中学一年生の二月某日

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 寒さも相まって、顔から血の気が引いていく。顔の感覚が無くなりそうだ。 「ねえ」  急にリオに声をかけられビックリして立ち止まる。  いつの間にかリオの家の前に立っていた。 「早く入ろう。寒い寒いー」 「ああ……」 「どうしたの?」 「なんでもねぇよ」  リオの家に上がり込むと真っ直ぐリオの部屋に向かう。  一戸建てで三階建ての立派な家だ。オレのオンボロアパートと大違い。  夕焼け差し込むリオの部屋は一人部屋にしては少し広い。十畳くらいか。勉強机は相変わらず綺麗に整頓され、小さな液晶テレビとテレビ台には埃ひとつ被っていない。シングルベッドには並べられたぬいぐるみは本人の趣味が分からない。見慣れた部屋な筈なのに、チョコレートの香りがして見知らぬ部屋にいるような気持ちになった。
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