中学一年生の二月某日

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 リオは鞄を勉強机の上に放り投げると暖房のリモコンに手を伸ばした。冷たかった部屋に温風が吹き、ダッフルコートを脱いだ。 「なにかジュース飲む?」 「これから甘い物食うのに?」 「そうだねー、コーヒー持ってくる。母さんのとっておきがあるんだ」 「いいのか勝手にそんなの」 「飲んでいいって言われてるからさー」  そう言いながらスリッパをパタパタ鳴らして忙しなく部屋から出ていくリオを見送って、部屋の真ん中にある座卓に着いた。  一人残されて部屋をまた見渡す。この部屋は前々から違和感を感じていた。  俺が持ち込んだゲーム以外全部ソロ専のオフゲばかり。座卓を囲む座布団は二枚だけ。部屋の隅にはサッカーボールや野球ボール、ミットにバット、竹刀に、何故か木刀。外で遊ぶ物が多いがどれもそんなに使い込んだ感が無い。フローリングの床は綺麗で、カーペットには染みやシワもない。
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