中学一年生の二月某日

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「大丈夫さ。体育はお前に譲るが、頭の出来はギリギリこっちが上だ。高校も一緒の所行こうと思えば行けるさ」 「じゃあ僕、ナガトと同じ高校行く!」 「ああ、三年になったらまた考えようぜ」  別に、オレ達の関係は今から変わるなんてことはないんだ。オレが気付かなかっただけで、リオはそれを教えてくれたんだ。  まったく、なんて鈍いんだ。  毎年他人から貰い過ぎたチョコを分ける口実に、しっかり自分の本命を最後に食わせるとか、相当想われてたんだな、オレは……。 「なあ、食ってもいいか?」 「あ、うん!」  リオは率先してビックリするほど綺麗にケーキを切り分ける。  小皿に乗ったカットされたケーキの断面は綺麗なスポンジで、二段に分かれたスポンジの間には生クリームまで挟まれている。本当にケーキ屋で売ってそうな出来だ。  フォークで一口分割って口に運ぶ。 「ん、うめぇ」 「そう? 良かった」
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