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「まさか、リオの作る菓子の味が一番ホッとするようになるなんてな。食い慣れた美味さだ」
「へへっ、実はお菓子作りが趣味ってちょっと恥ずかしくてさ。女子みたいで」
「んなこたぁねぇよ。パティシエは男の方が多いんだぞ?」
「え? そうなの」
お母さんがパティシエだとあんまそう思わないか。そんな事気にしてたのか。
「そういや、ホワイトデー返したことねぇな……」
「気にしなくていいよそんなの」
「いいやダメだ。お前が作ったって知ったからには返さねぇと。だからさ――」
これがお返しになるかわかんねぇ。
けど、オレはリオと一緒にいたい。
「――今度お菓子の作り方、教えてくれ」
「あ、あ……!」
リオは今日一番の笑顔で体を震わせるほど喜び、琥珀色の瞳を輝かせた。まるで顔の周りに花が咲いているのが見えそうだ。
「うん! 一緒に作ろう! 沢山作るぞー!」
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