中学一年生の二月某日

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「何だそれ、ボクの学校じゃそんなの見なかったな」  新月が得意げに言う。そもそもお前はこっち側の人間だろうに。 「中身見ないでウキウキで持ち帰ったオレの純情を返して欲しいね」  吐き捨てるようにぼやく。  机に突っ伏したオレを二人は笑った。 「純情って……クククッ」 「そうだね、ナガトは純粋だよ……ぷぷっ」 「くそっ、リオは兎も角新月までなんだよ」  わざとらしく余計に不貞腐れているとリオがぽんぽんとオレの肩を叩いた。 「まあまあ。今年も後で僕の家行こうね」 「成果ゼロだったらな」 「リオやったな。お前ん家行くってよ」  ニヤけながら言う新月にうるせえと小突くと天井からホームルームを告げるチャイムが鳴り響いた。  それから少しして先生が入ってきて手にした綴込表紙を叩きながら生徒に席に着くよう促す。
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