中学一年生の二月某日

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「おらー、お前らチャイムなっただろ席に着けー。バレンタインだからって浮かれてんなよー」  間延びしながらも今日という日を意識しながら注意する先生を一瞥したリオは、小走りに席に戻りながらオレに微笑んだ。それを見てオレも引きつった不器用な笑みで返すとホームルームが始まった。 「今日はバレンタインデーだからって校内でチョコ食ったりゴミを散らかしたりしないように。それと喧嘩の元になるから誰に渡しただとか何個貰っただとかの話はしないように!」  先生の釘刺しに教室中からブーイングが上がる。  元からチョコなど期待していないオレや同類達は皆、冷めた目で先生を睨んでいた。 ***  一時間目に頭が起ききらない状態で始まる数学。眠気の再来と空間図形に悩みなんとかチョコのことを頭の片隅に追いやる。
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