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「……。晶、ゴメンね」
かつみはぎこちなく先端に口をつけた。恐怖、羞恥、そして屈辱、そんな感情が動きを固くしているのだろう。申し訳なくなりながら、身体のなかで期待と興奮が渦巻いた。
「彼氏クン、ガン見じゃん。よかったね、JKにこうしてもらえて口説いた目的果たせたじゃん」
嫌味を露骨に言い含められた。客観的には、そう見えてるぞと。
「彼氏クンの顔がイっちゃいそうで心配だからさ、次は佐古が舐めてもらってよ」
かつみが持ち上げ立たせられ、洋式便器のフタに両手を突いた姿勢で尻をこちらに向けさせられた。
「佐古、彼氏クンいい顔してるよ。てかおまえTバックじゃん。勝負下着?」
「浴衣に響かないからよ」
俺はかつみの尻から浴衣とインナーをたくし上げ、下着の紐に手をかけた。尊厳なんて、嫌いな自分を諦め過ぎててとっくに砕け散っていた。
「彼氏クンさ、優しいよね。早く終わらせようとしてあげてるんだよ。これはけして、JKとヤることだけが目的で付き合ってるから我欲のままに無言で脱がしてるわけじゃないんだよ」
安西は、かつみの尻を撮っていた。布地が減るたびストロボを焚かれ、画像をスマホに残していた。
はらりと最後の一枚が落ちた。接写気味にアップを1枚、全体像をもう1枚。俺の醜態とかつみの恥部は、逃すことなく取られていた。
「しっかり濡らしてあげなよ、滑りが良くないと痛いだろうから」
かつみにはもう、とっくのとうに幻滅されていることだろう。許してくれだなんて言わない、諦めてくれ。
「な? 佐古。俺、キューピッドだっただろ? 彼氏クン、JKとヤる大義名分を手に入れてめちゃくちゃ喜んでるよ」
JKとじゃない、かつみとだと口に出しかけて大差無いことに俺は気付いた。
「良かったな、佐古。いまからきみは、大好きな彼氏クンの性欲をカラダのなかに挿れこまれて結ばれるんだよ」
俺は結合部分を撮られながら、かつみのなかへと挿れこんだ。
「痛い! 晶、ちょっとやさしく!」
血が床に滴り落ちていた。言ってたとおり、初めてだった。
「佐古の彼氏は優しいよ。きみの顔には目もくれず、JKの下半身に無我夢中になってるよ」
そう言ってくれるなよ。俺だって、自分自身に幻滅してる。
「佐古、俺もムラムラしてきちゃった。やっぱしゃぶってよ」
「うっそ……、おっきい……」
かつみが俺のよりもふたまわりほど大きいモノを、威嚇するマムシを見るような目でまじまじと見つめる。
「こればっかりは女の胸みたいなもんで、生まれつきで決まるんだ。大丈夫。文明が進んだいまの世の中、これだけじゃ男の価値は決まらないよ」
俺の、やっぱり他人より小さかったんだな。かつみ、こんな粗末なモノで初を奪って悪かった。
「佐古、上手いじゃん。そうだ! 彼氏クン、JKのなかに出すまえに言ってあげないといけないよ」
かつみの顔が、咥えながらハッとなった。悪いな、かつみ。もう俺は、欲望と好奇心を我慢してまでカッコつけるほど自分自身が好きじゃない。
「さっき、佐古も言ってたじゃん。下手に抵抗なんかしたら何するかわからないって。JKのなかで気持ちよくなって出しちゃうまえに、ちゃんと佐古に伝えなよ」
そうだな。この地獄と天国のひとときも、夢を見続けた茶番劇ももうフィニッシュだ。
「かつみ! ゴメン! 出る!!」
俺はかつみのなかに出した。俺がかつみの身体を貪る一部始終を、スマホに録画されていた。脅迫されていたからだなんだと自己正当化を繰り広げながら、感極まりながら腰を押しこみ出し尽くした。かつみは、その場に両膝をついて泣き崩れた。
「彼氏クン、いっぱい出したね。大きさに関係無く、出るものは出るんだね」
俺は呆然となって立ち尽くした。佐古はしくしく泣いていた。
「な? 俺、恋のキューピッドだっただろ? こんなことでもない限り、結ばれて愛の真実に気づくのはイブとかまで先送りだったぜ? あ、アフターピルは72時間以内らしいからそこは気をつけろよな」
俺はかつみを抱きしめながら、涙ながらに謝った。自分で自分が嫌いになった。振り払って欲しかった。うわごと以上になりきれていない俺の言葉に、かつみは黙って首を振ったり頷いたりして応えていた。
「これ以上俺がいてもお邪魔虫だろうからさ、最後にラインちょうだいよ。またいつか、力になってあげたいから」
俺は自暴自棄に成り果てたなかでIDを出した。かつみもIDを出していた。安西は、多目的に使ったトイレを出て行った。
「落ち着いた?」
俺がズボンを履いていると、かつみは衣服を整えながら聞いてきた。
「落ち着いた。俺たち……、もう終わりだよな?」
「……そう。ところで、あたしとシてみて、どうだった?」
もう今更、好感度なんか気にしていても仕方がない。
「良かったよ。頭の一部が静止しようとも、他の全部に振り払われた」
俺は更に言葉を続けた。吐き出してしまいたくなっていた。
「安西がかつみにしゃぶれと言ったとき、俺の脳は、期待と妄想で埋め尽くされた。プライドや理性なんかはどこかに行ってしまっていた」
「せっかくだから、練習したこと試しちゃえって思ってしゃぶった。ヨダレ出しながら悦んでたね、晶のボクちゃん」
かつみははにかみ微笑んでいた。
「その後は仕事中に変な目で見ないようにはしていたが、毎晩寝るまえ想像していた場所や行為への好奇心に抗えなかった。その場所は、目の期待にも舌の期待にも応え続けた。俺は欲求の虜になった」
「うれしいねー。あたし、濃いほうだから鏡見ながら整えてたんだよね。そうだ、家に帰ってもっかいシようよ。あたしのおっぱいちっちゃいから、そっちは期待を裏切るかも」
俺の目から涙が溢れた。かつみに頭を抱きかかえながら撫でられた。俺とかつみは、終わってなんかなかったんだ。かつみ、こんな残念な俺を受け入れてくれてありがとう。
「おーよしよし、いい子でちゅねー。でも恥ずかしいからここ出るまえに泣き止みましょーね」
俺は涙を出し切ると、かつみに手を引かれながらタクシーに乗りかつみの家へと直行した。実に豪勢な一軒家だった。
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