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卓球
津山恵理は卓球の強い高校に在学中だ。10年連続インターハイのベスト4に入っている強豪校だ。
3年生でやっとレギュラーになれた。
恵理は中学時代に左膝の靭帯を切る大怪我をしていた上、しっかりと治療をする時間がないまま、卓球を続けていた。
フォアハンドで踏み込むことは出来なかった。そうでなくても恵理には大きな欠点があった。
フォアハンドが壊滅的に下手くそなのだ。相手が返し辛いラバーを貼ったりしてなるべくフォアにボールがこないようにもした。
相手の選手は嫌がったが、相手の監督は恵理の弱点を見抜いてフォアにボールを回すように指示する。
そこで恵理のチームの監督は恵理にフォアの選手がフォアで動く範囲をすべてバックハンドでカバーするように練習させた。
恵理も頑張って、卓球台を左右に使うフットワークも全てバックハンドで打てるまでになった。
レシーブもかなりの範囲までバックハンドで受ける。
相手の選手はかなり混乱した様だった。そして、相手の混乱のお陰で勝てた試合も多かった。
混乱した相手が必ず聞くのが
「左利きでしたっけ?」
だった。
「いえ、ずっと右手で打っていましたけど。」
相手はきょとんとした様子で
「だよねぇ。」
と言いながらコートを納得行かない様子で去っていく。
たとえフォアハンドが下手でも頑張れば何とかなるものである。
決して相手を騙そうとしてプレイしていたわけではないことはおわかりいただきたい。
【了】
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