道のり

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そんな町のある男性はある女性と遠距離交際をしていた。とはいっても同じ町内ではある。ただ会えないだけなのだ。 リモート飲み会を彼女としている時、彼は言った。 「結婚しよう」と。 彼女の返事はぎこちないものだった。 「ホ、ホントに?それは嬉しいわ、けど……」 彼は疑問に思いどうしたのか訊いた。 彼女の言い分はこうだった。 この町では結婚式を挙げることも一緒に暮らすことも、ましてや会うことさえもままならないこんな町で結婚なんてできるわけない。だからこの町から出ることができたのなら結婚してあげてもいい。でもどうすれば良いのかわからない。 それを聞いた時、彼の頭にあのマスが浮かんだ。 彼女にそれを話すと賛成してくれた。 そうして二人の脱出劇は始まったのである。
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