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まずは彼一人でそのマスを探す旅に出かけた。
自治体から支給されたサイコロを持って一振り。
五が出た。家を出て五マス目まで進む。今日は直進してみる。
まずは『三進む』だ。何回かこのマスには止まったいたので振って出た時からこっちに進んだ方が効率がいいのは分かっていた。
そして三マス進む。そしてもう一度振る。この繰り返しで進んでいく。
大通りは進みやすく王道な感じのマス目が多い。『何マス進む』とか『何マス戻る』が大半で時々『十分休み』とかがある。
大通りは何度か探検したことがあったのでどのようなマス目があるのか知っていた。
なので今回は路地へと向かってみる。
しかし路地に入るのは至難の業である。通りと通りがぶつかるところ、十字路とかT字路のことだ。そのようなところのマスは決まっていて『〇〇へ曲がる』か『直進する』を選択するマスなのだ。
つまり、路地を探索するにはそのマスに止まることが前提になる。
しかし彼もそのマスに止まったことは少なく、何より路地は無数にある。だからそのマスに止まれるまで直進するつもりだ。
ちなみに戻りたい時はそこらにある『方向転換』マスに当たると反対に進めるようになる。つまり逆戻りしたい時に使う。
サイコロを振る。四が出る。残念ながら『三マス戻る』で瞬間移動によって戻される。半ば強制的に戻すこの機能を何かに活かせないものか。
そうしてその日はサイコロを振り続けた。
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