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その日、路地に入ることができたのは三回だった。なかなか入ることできないと思っていたが一日歩いていると意外と入れるものだ。
路地のマスは大通りとは違っていた。
『七マス進む』、『九マス戻る』、『路地から出る』、『テレポート』、『家に戻る』などなどだ。
気づいたかもしれないが『テレポート』できるマスがあることは大きな発見であった。
どうやら今までのサイコロを振った回数が貯金となっていてそれで選択肢からどこにテレポートするかを決められた。
その時は三十回しか振っていなかったので違う路地へとテレポートをした。どうやらテレポートしなくてもいいらしいのだが勢い余って飛んでしまった。
三つ目の路地でもう一度テレポートマスに当たった時に彼は気づいたのである。
マスの位置を見れることに。
選択肢と言っても実際は地図のようなものが出てきてそのマスを触るとそこに飛ぶ。そういう仕様だ。貯金で行けるところは光って、行けないところは光っておらず触っても何も起こらない。
その地図の中で一つだけマスの間隔が広いのに気づいた。普通は等間隔に設置されているのにここだけ間隔が二倍広くなっているのには何か理由があるはず。
その近くにテレポートしようと思ったがそこは町の外れでとても入り組んでいて、そこに入った人は戻ってきた人はいないというところだった。直接行くのは難しそうだ。それに怖い。そこに入ると戻ってこれないということは家に強制送還されない圏外なのだろうか。直線距離にして五キロはあるだろう。
無論テレポートする貯金が足りない。
大体千五百回くらい振ればいいだろうか。
彼は彼女に外に出てサイコロを振ることを定期的にすることをおすすめし彼はマスを探す生活を続けた。
月が変わる頃、彼はついに目標の貯金金額を貯めた。
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