道のり

三が出る。マス目には『四分短縮』と書いてあった。別にすぐ移動するのだから問題ない。すぐにサイコロを振る。四が出れば辿り着きそれ以上だと追い越して会えなくなってしまう。どこに方向転換マスがあるのやら──。
二が出た。マス目には『二マス進む』と書かれていた。彼は喜んだ。
ついに二人、同じ告白マスにたどり着いたのだ。彼女も喜んだ。
「えっと、僕と、けっ、結婚してください！」
彼は頭を下げ手を前に出す。相手の返事はわかっているが。
しかし全く返事はこない。いつまで経ってもこない。まるで消えてしまったかのよう──消えた？
彼が顔を上げるとそこには誰もいなかった。
──ばかな、まだ時間は来ていないはず。
タイマーを見るとあと二分残っている。
──おかしい。なぜもう……。