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3.仮面を剥がす
部屋に帰るために寮の談話室を通ると、ソファの背もたれからふわふわの明るい茶髪が覗いていた。クリスだ。
「……あ」
扉の音で振り返った彼女は2人を見て小さく声を上げ、気まずそうな顔をして読んでいた本に視線を戻した。コンラッドは少し苦い顔をしてオーウェンの斜め後ろに隠れながらも、声をかける。
「あ、あの……ごめんね。大丈夫だった? お腹」
「……若干痣になっただけで問題ないってよ」
「そ、そっか、よかった」
コンラッドは挙動不審気味に話す。チラリと2人を見たクリスはまたイライラしたように悪態を吐く。
「何ビビってんの? 男のくせにオドオドしやがって鬱陶しい。そんなので騎士が務まるわけ?」
コンラッドは痛いところを突かれたように顔を逸らした。オーウェンは一瞬また強く反論しそうになったが、軽く呼吸をして極力冷静に口を開く。
「クリス・スタンレイ、聞いて欲しい。コンラッドは女性が苦手なんだ。いつもこうと言うわけではない。今は何もかも改善するために頑張っている途中だから、どうか怒らないで欲しいんだ。君にだって不得手はあるだろう?」
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