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不安そうなコンラッドにオーウェンは困ったように眉を下げたまま微笑んだ。
「今の俺たちが1ヶ月で稼げるお金は1人約5ゴールド。2人で10ゴールドだ。18ゴールドはそれを越える、かなり高額な買い物になってしまう」
「……え、えっと、それって」
「少なくとも今月はかなり節約しなければ、近いうちに食事を買うことができなくなる」
コンラッドは予想以上の事態を告げられ、目を丸くした。
名門貴族・ブライトウェル家の次男。それがコンラッドの身分だ。四大名門と呼ばれる大貴族の子息として、常に民の手本になるよう努力して来た。文武両道、容姿端麗。一見すると弱点など見当たらない。
だが王国の貴族には、家事が得意な貴族は「優秀な使用人を雇う金がない」のだと言う風潮がある。だから貴族は名のある家の人間である程料理や掃除等をしないし、当然コンラッドも家事の経験は一切ない。今までこれは弱点ではなかったが、事情が変わったのだ。
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