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しかし今日、オーウェンが料理をしている間、少し時間がかかるからと言われ出かけたコンラッドは、街で見かけた綺麗な指輪を自分の審美眼に従って衝動買いしてきてしまったのである。
100%の善意だったが、また失敗したのだと理解したコンラッドは泣きそうな表情でオーウェンに謝る。
「ご、ごめん、あの、俺……」
「コンラッド、お前がお金の価値を知らないのも無理はない。俺もこれまで随分甘やかしてしまったからな……。取り返しのつかないミスではないし、気に病まないで欲しい」
「けど……へ、返品! 出来る、よな? お願いしてくるよ!」
慌てているコンラッドがそう言って指輪に手を伸ばすが、オーウェンは制止した。
「その必要はない。まだ節約すればなんとかなる。これはこれから頑張るための、先払いのご褒美だ」
オーウェンは1つを取って見る。サファイアが埋め込まれたプラチナの指輪だ。
「流石の審美眼だな。凄く綺麗だ」
「う、うん。お前が1人のことがあっても寂しくないようにと思って、お揃いにしたんだけど……」
コンラッドは寂しがり屋のオーウェンを思って選んだ指輪をじっと見る。
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